ここは、明治10年、西南戦争における激戦地の一つ、半高山・吉次峠古戦場です。
現在地右側の道路は、かつて吉次往還と呼ばれ、
豊前街道から分岐し、現・玉名市の高瀬へとつながる道でした。
西南戦争当時は松林で、この地点は先が見えない程急峻な峠道だったそうです。
明治１０年１月に始まった西南戦争において、熊本城包囲に苦戦した西郷軍は、政府のある東京へ向かうため、軍勢を熊本県北方面へと進めます。しかし、２月２６、２７日玉名高瀬付近の戦いに敗北したため、
一旦退き、約１万二千の兵をもって、ここ吉次峠や田原坂、山鹿方面の要地に布陣し、政府軍の南下を迎えうつ作戦をとりました。対する政府軍は、全国から送られてくる援軍を待ちながら、制圧にあたりました。
ここ吉次峠は、西郷軍に加勢した熊本の士族集団である熊本隊が守ることになりました。熊本隊の一番小隊長で、後に政治家としても活躍した佐々友房は「城北第一の要塞」と評しており、併せて、西郷軍の主力である篠原国幹、村田新八の部隊が陣営をかまえたこともあり、３月３日、４日と政府軍が攻め入りますが、なかなか進むことが出来ず、以後『地獄峠』と呼ばれ、近づくこともさえもおそれられました。
そして、田原坂が政府軍の手に落ちた後の４月１日、城北第一の要塞「吉次峠」は陥落することになるのです。
平成２１年から玉東町教育委員会が行った発掘調査では、現在地左側にそびえる半高山山頂部から小銃の発砲の痕跡を示す様々な銃の薬きょうが出土しており、山頂部に西郷軍が陣営を構えていたことが改めて示されました。
また、半高山西側斜面には撃ち込まれた多くの小銃弾や砲弾の破片が出土しており、当時の激戦の様子を物語ってくれます。