横平山は、田原坂の南西方向に位置する標高144ｍの小高い山です。政府軍の砲台が置かれた二俣台地の南端に位置しており、金峰山三ノ岳の尾根筋にあたります。
明治１０年、１８７７年の西南戦争では、田原坂、吉次峠と並ぶ激戦地の一つとなりました。
両軍がこの地の重要性に気付き、激しい争奪戦が繰り広げられたのは田原坂総攻撃の中盤戦でした。３月15日の早朝に西郷軍が守る横平山へ警視抜刀隊が投入され、激しい戦いが行われた末、政府軍が占領するところとなります。
平成２１年度に行った発掘調査では、現在も地表面にわずかに残る山頂の塹壕跡や北側斜面の陣地跡から小銃の薬きょうが出土し、横平山山頂部の陣地において守備的役割をした兵士がいたことが明らかになりました。
また、北側斜面地の一帯から多くの小銃弾が出土し、その中腹では刀の鍔が１点出土しています。西郷軍の刀による抜刀攻撃に苦戦した政府軍は、志願兵を募り、警視抜刀隊といって、切り込み専門の部隊を組織し、効果を上げました。刀の鍔は、彼らの活躍を物語る遺物の一つと言えます。
この他、山腹には西郷軍の死者４４体を仮埋葬した場所があります。７回忌に鹿児島の遺族が引き取りにこられたために、現存するものは少ないと思われますが、いまだ故郷の地に帰ることなく、戦場に残されたものも多いようです。