田中家住宅は吉野川南岸、石井町の平野部に建つ藍屋敷です。田中家は、江戸時代の寛永（1624～1643）頃に初代播磨屋与右衛門がこの地に入植して以来、明治時代まで代々藍染料を製造・販売する藍師・藍商の家でした。現在の屋敷は、安政元年（1853）頃から明治20年（1887）までに全ての建物が約30年の歳月を費やして完成されました。四周に徳島県産の青石・撫養石を積み上げた石垣は美しく、その上には主屋の周りを寝床や倉がぐるりと取り囲みます。住居であるとともに藍生産・藍販売に最適化されたつくりは、他では見られない藍屋敷独特のものです。